SMAPが解散したのが2016年。それからもう早いもので8年が経った。でも、私はまだ傷が癒えていない。どのくらい傷が癒えていないかというと、SMAPSMAPの最終回を録画しているのにも関わらず、見ることができないでいるくらい傷ついている。
あのSMAPSMAPでの「謝罪会見」（公開処刑とも言われている）からというもの、なんだか怖いのだ。
あの、「え？え？」という焦る気持ち。裏切られたような気持ち。
何かを見せられている感じ。彼らが何者かに抑制されていて、「見せつけ」になっているような、どこか気味悪さ。
最初に言っておきますが、わたくしはSMAPのことが好きだ。
でも、ファンクラブに入ったり、内輪を持って追っかけたり、押しがいる、というほどではなく、本気モードのファンからは「そんなのファンを語るな」と言われてしまうかもしれないけれど。
でも、彼らのことが好きだと言える。
風化させたくないから言うけど、彼らは国民的ヒーローだった。
それは、もはや暴かれてしまった事務所の力だったかもしれないし、ゴリ押しや忖度合って獲得した地位だったのかもしれない。それはわからない。
でも、万が一「つくられたヒーロー」だったとしても、彼らはそこに収まって、名に恥じない存在感や魅力を持っていて、名前以上にみんなに浸透していった。
彼らはそれまでの「日本のアイドル像」を一新した。
彼らが登場するまで、日本のアイドルは生活感のない、崇める対象だった。アイドルはトイレにも行かないなんてね。漫画の主人公のような、【民の幻想を擬人化】したような。
でも、彼らは違った。ダンスが揃っていないことも、歌がたいしてうまくないことも、笑われることも、格好悪いところも、すべて出した。のちに音楽番組が少なくなり、出れる番組がバラエティーだったから、という理由があったと言っていたけれど、トークも司会もお笑いもできる「アイドル」は、神々しいイメージから少しだけ手の届きそうな身近な存在になった。
その後、登場したグループが同じ道を歩もうとしても「じゃない感」があったのは、彼ら一人一人に「人間力」が半端なくあったからなのではないかと思う。
一人一人でも魅力的なのに、5人（6人）揃ったときのオーラたるやっ！
そもそもSMAPファンではない人にも届く実力
こんなことを綴ると誤解されそうなのだけれど、そもそもジャニオタでも、アイドル好きでもない。どちらかというとSMAPの前の光GENJIファンだったから、光GENJIからスケートボーイズ（SMAP）に事務所の押しがシフトしていく感じの、あの感じが嫌だった。だから、SMAPのことが疎ましく思っていた時期があった。
そんな私の耳にも聞こえてくるようになったのは「SMAPのライブって楽しいらしいよ」という声。
知ってる？スマップの缶ジュース
それから、スーパーマーケットにSMAPの缶ジュースが売っていたことで「おおぅ、スゴイ人たちなんだな」と思うようになった、くらいで。（後でSMAPのジュース（コーラ？）は、キリンビバレッジから販売されていて、アルバム「ドリンクSMAP」のコラボだということを知る）
ポチップ
ポチップ
っていうか、「Drink！Smap！」って今、もう中古品しか手に入らないの？？どこかで聞けるの？
そんなこんなで国民の“あって当たり前”の常備人みたいな存在になったSMAP
気が付いたら、SMAPは日本国民の“常備人”みたいな存在になったと思う。
私のように「ファンクラブに入るほどではないが好き」の人が大半だったんじゃないかって思う。
これって、熱狂的なファンが一部いるより、スゴイこと。
当時の首相の名前は言えなくても、スマップだったら全員の名前のフルネームを言える人は多かったのではないかな？そんなグループ、今、いる？？
マイケルジャクソンもマドンナも出たSMAPSMAP
芸能人・有名人と最も多く会った人、語った人だと、笑っていいともでのタモリさんだと思うんだけど（黒柳徹子かな？）、「芸能人・有名人に最もキスされた人」はスマップだと思う。
なぜならSMAPSMAPの「ビストロスマップ」では勝った方のチームがゲストにキスされるまで1セット。ほっぺにチュウのかわいらしいものだけど、調べたらきっとスマップが一番なのではないかなと思うのだけれど、どうだろう。
他の番組では考えられない大物ゲスト
SMAPSMAPには、他の番組ではメインの方が「ゲスト」として出演します。
SMAPSMAPに出演した海外大物ゲスト
- マイケル・ジャクソン – 世界的に有名なポップスターで、1996年に出演しました。本人たちには知らされないサプライズ出演で、SMAPSMAPの中でもテレビ史に残るワンシーンです。登場したときのメンバーの口あんぐりは大変印象深いシーンです。
- レディー・ガガ – 2011年に出演してパフォーマンスを披露しました。
- ゴルバチョフ – 2010年2月22日放送の回。ソビエト連邦の最高指導者のミハイル・ゴルバチョフ。プレゼントはサイン入りのマトリョーシカでした。
- ビヨンセ – アメリカの歌手で、SMAPのメンバーと一緒にパフォーマンスを行いました。
- ブラッド・ピット – アメリカの俳優で、映画のプロモーションで何度か出演しました。
- トム・クルーズ – アメリカの俳優で、「ミッション:インポッシブル」シリーズなどの映画で知られています。彼も複数回出演しています。確か「個々のレストランは大変美味しいと聞いた」とジョーク？を披露していたような
SMAPSMAPに出演した日本人大物ゲスト
- タモリ – 「笑っていいとも！」が最終回を迎え、来店した際（2014年3月24日）、2009年に泥酔による不祥事を起こし、断酒していた草彅くんに飲酒を解禁させたシーンが感動的でした。ビストロスマップの最終回はタモリさんだったと思います。スマップとの関係性を考えると、最終回にふさわしいゲストです。
- 高倉健 – 普段テレビ番組にほとんど出ていなかった高倉健さんはビストロスマップには出演しました。気さくな雰囲気の健さんは貴重でした。
そのほかにも政界から、小泉純一郎、阿部晋三などが出演しています。
ビストロSMAPはレシピ本が出てたっけ・・お母さん持ってたな～
ビストロスマップで披露された料理はセブンイレブンとコラボして発売されたり、レシピ本として発売されたりしていました。
ビストロスマップは番組開始からずっと続くコーナーでしたが、最初の方は本当に手作りで失敗することも多々。後半になると、ちゃんとレシピを考えてくれるコーディネーターさんがいて、メンバーの作業は少なりましたね。切ったり煮たり盛ったり？
ポチップ
“国民的”企業や企画に起用されるSMAP
国民的アイドルとなったスマップは日本を代表する企業にも多くCM起用されました。
ソフトバンクのCM
SMAPを起用したソフトバンクのCMは何パターンも流れました。スマップが解散する際にはそれまでのCMをつなげ白犬のお父さんが「さよなら・・じゃないよな・・」という特別編がスマップスマップの最終回に一度だけ流されました。
個人的にはロコモーションを踊るスマップのＣＭが好き！
個人的にはロコモーションを踊るスマップのこのCMが大好きです。もし5人が秘密で復活してくれるなら、このCMの再現をやって急に流してほしいです。
ドラクエのCM
ドラクエのCMもスマップがやっていました。なんとなく記憶されていることも多いことでしょう。
懐かしい！！！
東日本大震災のときのACジャパン 日本の力を信じてる 「今、ひとつになる時」
東日本大震災のときは、1ヶ月くらいテレビCMが自粛されました。その際に繰り返し流れたのはACジャパン（公共CM）のCMでした。最初の1週間くらいはほとんど同じCMが流れていましたが、そのうち、被災者を日本を元気づける新しいACジャパンのCMが流されました。
そこに起用されたのがスマップやトータス松本さんでした。混沌とした世の中でしたが、SMAPが言っているんだから大丈夫、となんだかとても勇気づけられた覚えがあります。
泣いて笑って・・・脱退・謹慎・逮捕・・・トラブルだって彼らの“魅力”
国民的スターにだって、不祥事はありました。スマップはいくつものトラブルを乗り越えたグループです。それでもなお、多くの人に指示されているのは、稀なグループでもあります。トラブルをも尚、彼らの魅力に昇華させました。
1996年5月メンバーの森且行がオートレース選手への転身で脱退。この様子はスマップスマップでも放送されて、中居君が号泣歌唱をしたのを覚えています。
2001年8月稲垣吾郎の道路交通法違反で逮捕。5か月間の芸能活動を自粛し、この年の紅白歌合戦も辞退。復帰の際のスマップスマップで、緊張した表情の吾郎ちゃんが涙を流していたっけ・・。確かファンの前で「ベストフレンド」や「夜空ノムコウ」を歌唱。
そのあと、本人の話があった後、確か「SHAKE」で盛り上がったんだよね・・。
この時のスマップスマップでは、逮捕の次の日のコンサートをどう乗り越えたか、などのドキュメントが放送されて、事件をしっかり向き合い、説明して、回収しました。
ちなみにこの時の視聴率は34.2％と同番組の最高記録なのだそうだ。
2009年4月 草彅剛が泥酔騒ぎを起こし、公然わいせつで現行犯逮捕されました。当日、ニュースになった後、草彅君を乗せた移動するパトカーも追尾されて生放送されたほど。
当日に釈放され、その後謝罪会見を行いましたが、「僕はお酒をいっぱい飲んでしまいました」と正直に話す草彅君は、逆に好印象を持ったのは私だけではないのではないでしょうか？
1ヶ月の芸能活動自粛の後、復活もスマップスマップで。スタジオの観覧者がいる中で、剛君が泣きながら「ありがとう」を歌ったよね・・。
その後「この瞬間、きっと夢じゃない」、「SHAKE」を披露。このとき、メンバーがすごくうれしそうにしていたのが印象的だったなー。ちなみにこのときの視聴率は22％なんだって。
スマップ解散劇は、当時の芸能事務所・芸能界・マスコミの悪いところが全部出た事件。みんなが置いてけぼりだから、私は強く言いたい！スマップを返して！
ここまで来て、それからスマップが解散してから数年経った今も、こうやって書くということは、私を含めて多くの人がスマップの解散に納得いっていないからだと思う。
これまで説明してきたように、スマップは数あるトラブルにも逃げなかった。すべて説明して、本人たちの口からメッセージがあった。
それなのに、解散のときだけは、最後まで中途半端。ファンを置いてけぼりにして、モヤモヤした気持ちにさせたままだった。本当に彼らは解散しないといけなかったのだろうか？
本来ならば、解散コンサートや記者会見、「最後の場」を作ってほしかったのです。
（後に文章で各メンバーのメッセージが流れたり、個々のラジオなどで心境を語った）
SMAPSMAPの最終回も総集編プラス最後の歌唱で終わり、物言えないメンバーをスタッフが代弁するような作り。いくらいろんなことを隠そうとしても、視聴者にはバレているんですよね。
波紋、疑問を残したまま、騒動になったまま、いなくなった「スマップ」
これまでの流れを見て、これはメンバーのせいではなく、メンバー以外の誰かのせいだと思わざる得ないのです。
終始見させられたのは、日本芸能の歪な構造と気味の悪い権力争いや忖度、利権・・。誰も止めることができない恐ろしさ。
国民的スターに人権はないのか？と思わざるえません。今まで、励ましてくれていたじゃないかスマップ！私たちに元気をくれていたじゃないかスマップ！
それなのに、本人たちが苦しんでいるときに私たちが恩返しができない、歯がゆさに、私たちはずっと囚われているんだよ。
本当に日本のエンタメ会の大きな損失だと思う。そして、私たちに残る大きな喪失感。
そんな思いをしている人が多くいることを彼らを支える人たちがもっと自覚してほしい、忘れてほしくないという思いでこの記事を書きました。
これからも、彼らの幸せを心から望んでいます。可能ならば復活を、彼らの口からお話を、望んでいます。
追記）SMAPSMAP（スマスマ）の作家をつとめてきた鈴木おさむ氏の新刊「もう明日が待っている」にすべてが詰まっていた
この記事を投稿した後、鈴木おさむ氏の新刊が出ることを知りました。
その名も「もう明日が待っている」。「小説SMAP」と帯にも書かれていますが、当記事にも触れたスマスマの舞台裏が描かれています。
SMAPファンならずとも、あの日を目にしたすべての方に読んでいただきたい一冊です。
そしてね、できれば映画化、ドラマ化してほしい。そして、同じ時間にテレビにて真実を放送してほしい。公式から「あれは間違ったことだった」と言ってほしい。
そうしないと、日本人は宙ぶらりんのまま、喪失感を持ったまま生きていかないといけないんだよ。
第8章以外は、すべてスマップの歌詞の中の一節がタイトルになっているのが泣けてきます。
そうだよね、もう明日は待っているんだ。
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