サカナクションの「夜の踊り子」が世界的バズになっています。
以前の記事で私がサカナクションのファンになったきっかけはMステで偶然見た「夜の踊り子」に衝撃を受けたことから始まっていますので、今のサカナクションのバズはとても感慨深いです。
なぜサカナクションの「夜の踊り子」がバズっているのか?その理由
なぜ今、サカナクションの「夜の踊り子」がバズっているのか説明します。
TikTokでの動画がきっかけです。インドネシアの伝統的なボート競技「パチュ・ジャルール」の先導にいる11歳の少年の踊りに合わせて、サカナクションの「夜の踊り子」を合わせたことに始まります。少年の踊りと「夜の踊り子」のテンポが絶妙にマッチしています。
ちなみにボートの先頭で踊る少年は漕ぎ手を鼓舞する役割なのだとか。
面白がって本人も真似をする!
この事態に拍車をかけたのが、本人がこの現象にのっかって自分の配信で踊りながら歌ったこと。
これによって他の日本人も次々と踊る動画を発信しました。
この動きは去年流行ったナルトダンスを彷彿させます。
サカナクションファンは「夜の踊り子」のバズをどう見るか?
「夜の踊り子」の予想もしない使われ方に難色を示すファンもいることでしょう。
でも、多くのサカナクションファンはきっとこう思っているはず。
「ほら、いい曲だろう!」
「今頃気づいたのかよ~(どや)」
「他の楽曲も聞いてみてー!ライブも見てみてー!」
サカナクションのフロントマン山口一郎さんも「いろんな人に聞いてもらえるのはうれしいこと」として、今回のバズり現象を歓迎しているようです。
サカナクションが世界に届いた本当の意味
今回、「世界的バズり」の流れが日本の曲をアピールするのに理想的な姿だったな、と感じる点があります。
- 日本人のファンが“サカナクションをアピールするために”投稿したわけではないこと
(韓国人のファンが投稿しています) - 海外の大物が紹介したわけではないということ
(ピコ太郎のように、海外の大物有名人が「面白い」と認めてツイートして一発逆転というバズではない) - アニメ主題歌や映画の主題歌でないこと
- 日本語のタイトル、日本語の歌詞、日本独特の“日本の歌謡曲”を彷彿させる曲であること
- サカナクション自身が「海外に向けた音楽を作ろう」としていたわけではないこと
広めたのが日本人ではなく、日本の市場ではなかった、ということに意味がある
日本には推し活文化がありますが、今回のサカナクションのバズりは「日本人のファンが推し活のために故意に広めた」わけではない、ことに意味があります。
動画の再生数を上げたり、曲の再生数のカウントを重ねることが“推し活”とされる文化が日本にはありますが、それらはある意味「作られた流行り(バズ)」。
今回の夜の踊り子を採用した動画は、韓国人の方がインドネシア人の動画に日本人の曲を合わせたことに意味があります。韓国の方はもともとサカナクションのファンだそうですが、推し活として故意に使ったというよりも、たまたま使った、という方があっているかもしれません。
それが、もともとSNSが強く、バズが起きやすいインドネシアでバズったということに意味があります。
そこには日本人はほぼ関わっておらず、そういう意味でも自然発生的に「曲が認められた」ということです。
ジャスティンビーバーがツイッターでつぶやいたことで広がったピコ太郎の「ペンパイナッポーアッポーペン」とも違い、一発ゴー!ではなく、ジワジワと広がったことも興味深いですね。
アニメの主題歌や映画などのタイアップではないこと
世界で日本の曲が聞かれるきっかけとしてアニメや映画の主題歌など「日本のCool」とセットになことがありますが、今回の夜の踊り子はなんと十数年前の曲です。
当時こそ、東京モード学園のCMとタイアップでしたが、2026年の現在に何か世界で聴かれるきっかけはありません。
それが掘り起こされて、世界に浸透していった、というのはまた珍しい動きでもあります。
日本のアニメや映画など他のメディアとのセット売りではないバズというところが、SNS時代の本当の意味での世界進出、と言えるのではないでしょうか。
富士山!着物!舞妓さん!バズった曲が日本らしいMV、曲であること
一郎さんは以前「世界で聴かれる音楽を作りたいとは思うけれど、だからといって英語の歌詞にはしたくない。僕は日本語しかできないし、日本語にこだわりたい」というような趣旨の発言がありました(ラジオか配信でだったと思います。)
また、「SNSでバズったのはうれしいけれど、バズらせるための音楽を作りたいとは思わない」とも言っていました。
例えば、昨今ではSNSでバズるために縦型で踊れるダンスを敢えて採用してみたり、耳に残るリズムやフレーズを使ってみたり、前奏を短くしてみたり・・といろんな工夫があります。
それらも「音楽を人々に届けるための施策」として、戦略的には理解できることです。
しかし、サカナクションはそういったことを戦略的には行っていませんでした。
あくまで「いい音楽を作ってそれを何年後先でもいいから多くの人に認めてもらいたい」そのような純粋な楽曲づくりをしてきたように感じます。
そのスタンスを今回、見事に達成したように思います。
リリースから10年以上も経ってからのリバイバルでしたが、それでいいのです。
さて、もう一つ「夜の踊り子」が世界的に聴かれたことに意味があるのは、タイトルもMVも曲調も歌詞も、サカナクションの存在もすべてが「日本」だからです。
偶然にも夜の踊り子のMVは富士山を背景に着物で演奏しています。舞妓さんも踊ります!
また、「跳ねた跳ねた・・」など、日本の童謡を思わせるような歌詞やどこか懐かしい日本らしいメロディの楽曲です。
比較的サカナクションは80年代のJ-POPを取り入れることが多いのですが、そこにテクノポップも混ぜて結果「踊れるダンスロック?ダンスポップ」を作っているグループです。
サカナクションというアーティストも黒髪で漢字綴りの本名で活動しています。
これらは、世界の人たちに「日本人のアーティスト」「日本の曲」を多いにアピールできるでしょう。
最近、音楽もグローバルに聴かれるようになりましたが、日本のグループがK-POPに思われることも、日本人が韓国人・中国人と思われることも多いです。特にアメリカ・ヨーロッパの方々はアジア人を見た目で区別できないんですね。
音楽に国や国民性をあまり強く言いたくはありませんが、サカナクションの「夜の踊り子」は一目みて「日本の曲」と判断できる材料がたくさんあり、それらが世界で聴かれることは「日本の音楽界」にとってもとても意味のあることです。
時代がサカナクションに追いついた
今まで、サカナクションを追ってきた身としては「サカナクションは大衆的な音楽ではなく、音楽好きの感度が高い人に響く曲」だと思っていました。
だからこそ、バンドとして知られてきても、より大衆的な音楽を発信するアーティスト達の方が売れていく感じを長年見てきました。
でも、ファンとしてはそれで良かったのです。
サカナクション本人達も「大衆的な音楽」と「自分たちが好きなマイノリティーな音楽」も使い分けていました。
でも、「自分たちがいいと思う音楽」が埋もれてしまう物悲しさはどこか持っていたようにも思います。こんな思いが今回報われた気持ちです。
しかしサカナクションファンの中には、ミーム化した使われ方に納得がいかない方もいらっしゃることでしょう。それも分からないわけではありません。
しかし、音楽好きの兄ちゃん姉ちゃんが、今、海外にも届いているということは単純に喜んでいいのではないでしょうか。
海外の方はぜひ、サカナクションのライブ映像も見てほしいです。



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